節税対策を効果的に行うには税理士の協力が必要となります。
しかし節税の仕組みや節税の効果を経営者ご自身が理解しないと、節税できるタイミングや情報提供などの意思疎通を顧問の税理士とうまく行うことができません。
節税対策は税理士との共同作業になりますので、経営者ご自身が(税理士ほどの深い節税知識はいりませんが)、節税の匂いに「気付く」ことが必要となります。
今回は節税をした方がよい理由を考えてみました。
※特急「指宿のたまて箱」号
単なる課税の繰り延べにならないこともある
節税対策の中には、その年度の税金が少なくなっても、将来的にその少なくなった分の税金が結局増えてしまうものもあります。
たとえば生命保険に入ったり、経営セーフティ共済に加入して、その後解約金などが戻ってくるケースです。
これらの節税対策は「課税の繰り延べ」(税金が課される時期を先送りにする)となります。
結局将来税金が増えるんだったら積極的にやる必要性は特に無いんじゃないの?と考える経営者もいらっしゃるでしょう。
しかし私はそれでも会社の経営状況やキャッシュの状況に応じて、それらの節税対策も可能な限りやるべきだと思っています。
それは以下の理由からです。
①節税対策は利益が出ているときに行うと、より効果的になる。
例)課税所得(※)が出ている場合で、経営セーフティ共済(年額120万円の掛金)に加入
実行税率40%とした場合の節税額…120万円×40%=48万円
↓
②将来も、節税対策をする現在と同様の利益を出し続けていると単なる課税の繰り延べとなる。
例)課税所得が出ている場合で、経営セーフティ共済を解約し解約返戻金120万円を受領。
実行税率40%とした場合の税金増加額…120万円×40%=48万円
↓
③しかし将来何らかの要因で業績が不安定(赤字)になったときに、その繰り延べた節税対策が効果を発揮
例)課税所得が120万円以上のマイナスで、経経営セーフティ共済を解約し解約返戻金120万円を受領。
120万円以上のマイナスと解約返戻金120万円が相殺される…税金ゼロ
(※)課税所得…税金計算の基となる金額。会社の利益に近い金額。
循環させられるキャッシュを早期に獲得する
単なる「課税の繰り延べ」となってしまう節税対策だとしても、「現在」手元に残るキャッシュが多くなります。
特に開業間もない場合は、手元に残ったキャッシュの再投資を積極的に行って出来るだけ早期にキャッシュを獲得し、それらのキャッシュを循環させることが重要となります。
つまり将来よりも「現在」に多くのキャッシュを手元に保有することで、経営戦略上も断然有利に働くことになります。
今後は実行税率が下がることが予想されるので課税の繰り延べでもお得に
日本の政策上、法人に対する実効税率は今後どんどん低くなっていくでしょう。
国際競争力を重視した実効税率を視野に入れると、将来的に10%台になることも考えられます。
この場合、課税される時期を先延ばしした方が納税する金額が少なくなります。
今後法人に対する実効税率が引き上げられることは考えにくいため、たとえ課税の繰り延べであったとしても、その効果を享受するにはよいタイミングかもしれません。
税法は毎年毎年複雑に改正させるため、ご自身の会社に影響を与える改正は何なのか、顧問の税理士からしっかりと情報提供を受ける必要があります。
ご自身の会社に適切な節税対策を行えるよう、経営者ご自身が、顧問の税理士をうまく活用していけるようにしましょう。
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【編集後記】
1月は、法定調書など提出しなくてはならない書類がたくさんあります。
現在、これらの作業に追われている会計事務所が多いのではないのでしょうか。
ここにマイナンバーが加わることでより作業量が増えています。
ただこれらの作業増加で手間が増えているのは国税局や税務署も同じでしょう。
霞が関で決定したことなので、国税局や税務署もそれに当然従わなければならないのですが、矢面に立つのは国税局や税務職の方達になるのでしょう。
今は懐かしい住基ネットの失敗など、過去の政策の責任の所在はいまだ不明です。
そろそろ縦割りの政策はやめて、現場や国民を中心とした政策を考えられるよう、霞が関の方達には頑張ってもらいたいです。
【昨日の1日1新】
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【昨日の自己投資】
USCPAの試験勉強(FAR)
読書(悩みどころと逃げどころ/ちきりん、梅原 大吾)