『消費税率引上を踏まえた住宅取得対策』として平成31年の税制改正大綱で発表された住宅ローン控除の延長。
結論から言いますと…
- 控除期間を10年から13年に延長
- 11年目から13年目の各年の控除限度額は、以下のいずれか少ない額
「住宅ローン(※)の年末残高の1%」と「建物購入額(※)×2%÷3」
※4,000万円が限度 - 平成31年10月1日から平成32年12月31日までの間に取得して居住した入が対象
となってます。
消費税増税に伴って様々な対策が取られていますが、どれほどの効果があるのか…、
そして、その対策にどれだけお金がかかっているのか…
はいつか分かるのでしょうか…
控除期間が10年から13年になるって?
従前の最大控除額は⇒40万円×10年=400万円
これが、10年から13年に延長されると⇒40万円×13年=520万円
つまり120万円の税金の差が出ます。
ただし、ここで注意したいのが、一般住宅の場合この上限の恩恵を受けられる人はいないでしょう。
(不動産の営業でこの金額を言われたら、ちょっと疑ってみてください…)
というのも、11年目から13年目の控除限度額が「住宅ローンの年末残高(上限4,000万円)の1%」と「建物購入額(上限4,000万円)×2%÷3」のいずれか低い金額とされているからです。
この比較がこの改正のミソです。
11年目以降の控除限度額の計算が分かりづらい
1年目から10年目の控除限度額の計算方法は変わりませんので、従前の通りの取り扱いです。
11年目から13年目の控除限度額の計算方法は、上記に記載したとおり「住宅ローンの年末残高(上限4,000万円)の1%」と「建物購入額(上限4,000万円)×2%÷3」のいずれか低い金額となります。
つまり、
「住宅ローンの年末残高(上限4,000万円)の1%」→マックス400,000円
「建物購入額(上限4,000万円)×2%÷3」→マックス266,600円(100円未満切捨)
のいずれか低い方、ということは11年目から13年目の控除限度額は実質266,600円となります。
結果、今回の改正による一般住宅の場合の住宅ローン控除の13年間の合計最大控除限度額(長い…)は、
400,000円×10年+266,600円×3年=4,799,800円
となります。
ただし、それなりの注文住宅でなければ、建物部分だけの価額で4,000万円はそういかないでしょう。
となると、11年目から13年目までは、上限計算云々よりも「購入時の建物価格に2%かけて3で割った金額」の税金が安くなるんだな、くらいの感覚で大丈夫だと思います。
どうして平成31年10月1日以降の人が対象なの?
ずばり、この日以降に消費税が10%になるためです。
「10%と8%の差額分(2%分)を、11年目から13年目の3年間で返しますよ」というのがこの改正の主目的です。
ただし、あくまで住宅ローン控除なので、途中で繰上返済などをするとその恩恵を受けられなくなることもあります。
消費税の増税対応のためなら、11年目からではなく、1年目からその恩恵を受けさせてくれればいいと思うのですが…、まあ色々あるのでしょう。
平成31年10月1日以降に不動産を取得して居住しようとしている方は、営業トークに惑わされることなく、しっかり内容を確認する必要があります。
(不動産取得後11年目には、担当の営業マンが残っているかも分からないので文句も言えませんし…)
まとめ
平成31年10月1日の消費税増税に伴って、さまざまな法律の施行が予定されています。
消費税増税に伴う「軽減税率」、「ポイント還元」など、一般の方のみならず税理士にとっても細か過ぎる施策にはうんざりしています。
増税する理由を合理的に、かつ明確に説明し国民を十分納得させることが出来れば、このようなその場しのぎの施策は不要でしょう。
次はどんな手がくるのか…。施策の裏を読んでみましょう。