納税管理人の届出。
海外勤務などで日本国内に住所がなくなったにも関わらず、所得税などの申告が必要な場合に行う手続きです。
今回はその提出先についてまとめてみます。
※事務所にて
「納税管理人の届出書」って?
海外勤務などで日本国内に住所(または居所)を有しなくなった場合で、所得税などの確定申告書の提出、納税などの諸手続きをする必要があるとき
↓
日本国内に住所(または居所)を有する者の中から申告書の提出などの諸手続きを処理する「納税管理人」を定め
↓
納税者自身の納税地を管轄する税務署長にその旨を届け出なければならない
とされています。
(国税通則法 第117条、国税通則法施行令 第39条)
つまり、税務署長(税務署)へ提出することになると届出用紙が「納税管理人の届出書」となります。
なお、納税管理人が定めれらますと、所得税などに関する書類は納税者本人ではなく納税管理人の住所に送られることになります。
また、納税管理人は納税者に代わって各種申告書の提出など、各通知書などの書類の受領、国税の納付や還付の受領など、納税者本人がなすべき国税に関する事項を処理することになります。
「納税管理人の届出書」の提出先は?
納税管理人を定めた時は、「当該納税管理人に係る国税の納税地を所轄する税務署長」に届け出ることになっています。
非常に紛らわしいのですが、ここでいう納税地とは、納税管理人を選定することとなった国税についての納税義務者本人の納税地であって、納税管理人の納税地ではありません。
国内に住所(または居所)を有しなくなった者の納税地は、原則として次の通りとなります。
- 国内に住所(または居所)を有しないこととなったときに事業所などを有せず、かつ、納税地とされていた場所にその者の親族などが引き続きまたはその者に代わって居住している場合
→その納税地とされていた場所 - ❶に該当しない場合で、国内にある不動産などの貸付けにより対価を受ける場合
→その不動産の所在地 - ❶および❷に該当しない場合
→国内に住所(または居所)を有しないこととなった時の直前において納税地であった場所(おおむね❶〜❸に該当することとなります。ごく稀に下記❹、❺に該当することもありますが、悩んだら税務署か税理士に相談しましょう)
- ❶〜❸までのいずれにも該当しない場合
→所得税に関する法律の規定に基づく申告、請求などの行為をする場合に、その納税者が納税地として選択した場所 - ❶〜❹までのいずれにも該当しない場合
→麹町税務署の管轄区域の場所
よくあるケースとして不動産の貸付けがありますが、元々自身が住んでいた場所を売り払う、もしくは空き家にしたまま海外に行き、不動産投資はそのまま続ける。
そんな場合は上記❷に該当することになりますので、所得税に係る納税管理人の届出書の提出先は、その不動産が所在している場所を管轄する税務署になります。
一方元々住んでいた場所に両親や兄弟が住むことになった場合には、それまで納税地としていた場所を管轄する税務署に納税管理人の届出書を提出することになります。
(所得税法 第15条、所得税法施行令 第53条、54条)
まとめ
海外勤務などによる長期出国が決まった場合、やることが多く、てんやわんやになることもあるでしょう。
特に多岐にわたる投資を行なっている場合は、税務に関する諸手続きに留意する必要も出てきます。
安心して海外で働けるように、やるべきことを全て行なって出国できるよう準備をしましょう。
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【編集後記】
先日、シリアにて化学兵器により多くの民間人が犠牲となりました。
シリア騒乱はもう7年以上続いていますが、一向に解決の見通しは立っていません。
政治的問題、民族的問題、宗教的問題などが複雑に入り組んだ騒乱ではありますが、民間人を巻き込むのだけはやめて欲しいものです。
国内問題に諸外国も参戦していることも、またことを複雑にしていますが、自身の主張や主義を主張し、それに抵抗するものと戦いたいのであれば、正々堂々と1対1で正面から戦えないのでしょうか。
なぜわざわざ武器も持っていない弱者(子供、女性など)を狙うのか、本当に理解に苦しみます。
そんなことをして天下(権力)をとっても、誰も付いてきませんし信用もされないでしょう。
(甘い汁を吸いたい人は寄ってきますが)
歴史に学べば愚かな行為であることはすぐに分かるものですが、いつになったら人は真の意味で進化を遂げるのでしょうか。