「年金もらっているけど何か手続きしなくちゃいけないの?」
そう思っている方も多いと思います。
どんな方が手続きが必要になるか、どんな方は手続き不要なのかまとめてみました。
※上海からきた巨大客船
手続き名は『確定申告』
『確定申告』という名称を聞いたことがあるがよく知らない、という方もいると思います。
『確定申告』とは簡単に言うと「1月1から12月31日までのその個人の “所得税” を計算し、それを国(税務署)に申告すること」となります。
今で言うと、平成29年1月1日から12月31日までの所得税を計算して、平成30年3月15日までに国(税務署)に提出しなければなりません。
計算した結果納税する必要があれば、合わせて同じ期限までに納税する必要があります。
個人事業主の方であればご存知の手続きだと思いますが、会社員の方にとっては馴染みのない手続き(基本、会社が行う年末調整で完結してしまう)かもしれません。
ただサラリーマンの方でも、最近は住宅ローン控除、医療費控除、ふるさと納税などで、ご自身で確定申告をする方も増えてきています。
そんな『確定申告』ですが、今回は年金受給者に関しての確定申告不要制度をまとめてみます。
確定申告が不要のケース
年金も収入ですので、サラリーマンと違い年末調整されないこれらの収入は、本来確定申告が必要なものとなります。
ただ、高齢の年金受給者にとってある程度の計算と手間が必要となる『確定申告』は非常に負担なものと言えるでしょう。
そこで、年金受給者の負担を減らすため、年金受給者には確定申告不要制度が設けられています。
この制度によって、多くの年金受給者が確定申告をしなくても済むようになっています。
この年金(正しくは「公的年金等(※1)」といいます)受給者の確定申告不要制度の適用対象となるのは、下記の1、2のいずれにも該当する方となります。
- 公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下であり、かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる
- 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額(※2)が20万円以下である
※1 :「公的年金等」とは次に掲げるものを言います。
・国民年金や厚生年金、共済組合から支給を受ける老齢年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金、老齢共済年金)
・恩給(普通恩給)や過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金
・確定給付企業年金契約に基づいて支給を受ける年金など
※2:「公的年金等に係る雑所得以外の所得」とは次のようなものを言います。
・生命保険や共済などの契約に基づいて支給される個人年金
・給与所得、生命保険の満期返戻金 など
図で表すと次の通りとなります。
なお、外国において支払われる公的年金等は源泉徴収の対象とならないため、この年金を受給されている方は確定申告が必要となります。
また、年金をもらいながらアルバイトをしたり、不動産による家賃収入があったり、株式投資などで利益を得たり、生命保険の個人年金保険を受け取ったりしている場合には注意が必要です。
アルバイト代は給与所得などに、家賃収入は不動産所得に、株式投資は譲渡所得などに該当します。
個人年金保険の受取金は、一時金として受け取れば一時所得に、毎年受け取る年金タイプなら雑所得となります。
この種類ごとの所得金額を計算し、そして合計して20万円を超える場合は上記の条件2をクリアすることができず、確定申告が必要となってきます。
確定申告は不要だけど申告した方がお得なケース
確定申告不要制度の適用により、確定申告をする必要がない方でも確定申告をした方が良い場合があります。
例えば、
住宅を購入したことにより住宅ローン控除の適用を受ける場合
医療費を一定額支払ったことにより医療費控除の適用を受ける場合
災害、盗難、横領による損失により雑損控除の適用を受ける場合
などがあります。
これらを適用するため確定申告をすることにより、年金から予め引かれていた所得税の還付を受けられる場合があります。
上記のいずれかに該当するのであれば、最寄りの税務署、若しくは税理士などの専門家に問い合わせてみましょう。
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【編集後記】
英コンサルティング企業「ヘンリー&パートナーズ」が発表したまとめによりますと、シンガポールのパスポートがドイツを首位から退け、日本と並んで世界最強のパスポートとなったようです。
現在、シンガポールと日本の国民は、180カ国にビザ免除で行くことができるとのことで、あらためて、ここまで世界に信頼される国を築き上げてくれた先人の凄さを感じています。
こういった信頼は一朝一夕で出来るものではなく、過去の努力の積み重ねで築かれたものでしょう。
そういった日本の文化・文明により築かれた信頼や尊敬を、今後も失うことなく私たちも築いていく必要があります。
アメリカに習い日本の生活スタイルも多様化し、一見個性的にも見えますが、それは裏を返せば自己正当化を強める傾向にもあるとも言えます。
日本の文化・文明の歴史を途絶えさせることのないように歴史を学びなおすことも、歴史の中で生きている私たちの使命なのかもしれません。