「株主」と「債権者」
資金提供をしてくれる人、という目で見ると、どちらも企業に対する『投資家』になります。
ただ同じ投資家でも、企業に対する投資家のものの見方は全く異なりますので、ざっくりまとめてみました。
「株主」は成長性を重視
投資家と言われて真っ先に頭に浮かぶのは「株主」でしょう。
株主は企業の成長性を重視し、売上をどんどん上げることを求めてきます。
そのための借金ならばやむなし、とも考えています。
なぜ売上を重視するかと言うと、下記の利害関係者の図を見ると分かると思います。
売上から原価(材料費や外注費など)を差引くことで粗利が出ます。
その粗利から人件費や販売管理費、借入利息、税金を支払い、最終的に残ったものを受け取るのが「株主」になります。
最後に何も残らないと「株主」には何も回って来ないため、当然株主は企業(経営者)に対して売上を上げることを求めてきます。
経費を削減することで利益を出すことも可能ですが、それは一時的なものです。
やはり売上を上げ成長し続けることで自身の利益を最大化させる。それが「株主」の目的であり狙いとなります。
「債権者」は安定性を重視
企業にとって最も大きな債権者は、お金を貸してくれる金融機関になるでしょう。
金融機関からお金を借りると”融資”という名称が使われますが、金融機関から見たら企業に対する”投資”になるでしょう。
つまり、金融機関も企業に対する投資家と考えていいと思います。
しかし同じ投資家でも、「株主」とは違い「債権者」は安定性を重視します。
先ほどの図を見ても分かるとおり、金融機関などの債権者は「株主」よりも優先順位が先に来ます。
また、「債権者」のリターンである”利息”は、借入をする時点である程度決まっていますので、企業がいくら売上を伸ばそうが基本的には関係ありません。
(逆に「株主」の享受する利益は限定されたものではないため青天井となります)
そのため、売上を上げるために積極的にリスキーな投資をされるよりも、堅実に売上を上げていく安定性を求めていく意向が強くなります。
重要なことは事業を継続すること
「株主」=経営者、というのであれば、気にかける投資家は「債権者」のみになります。
しかし、ベンチャーキャピタルなどの第三者の「株主」、そして金融機関などの「債権者」がいる場合には、両投資家を気にかけなくてはなりません。
成長性を重視する「株主」と安定性を重視する「債権者」。
経営者はこういった利害関係者とのバランスを取りつつ経営の舵をきっていかなくてはなりません。
ただ一番重要なことは、事業を継続することです。
売上を上げることに躍起になり倒産してしまっては、だれも幸せになりません。
どうしても孤独になりがちな経営者ですが、事業計画、決算書の見せ方など、顧問税理士などに相談しうまく経営の舵取りをしていく。
日々の業務の忙殺されがちな経営者ですが、それが経営者の仕事であり役割でもあります。
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【編集後記】
先日、サウジアラビアなどの湾岸諸国(バーレーン、エジプト、UAE、イエメン、モルディブ)がカタールとの国交断絶を発表しました。
異例となる今回の突然の国交断絶に、世界から多くの驚きの声が上がっています。
ちなみにカタールは大きさや人口だけで言うと、面積は約11千㎢、人口は約220万人なので、新潟県と同じような規模(約12千㎢、230万人)の国です。
それにしてもこの規模でもGDPはすごい!
ただ、原油価格の高騰などの経済的混乱、そして日本への大きな直接的影響は今のところないようです。(カタール航空を使ったツアーなどのキャンセルなどはありそうですが…。)
しかし、その直後に起こったイランのテヘランにある国会議事堂襲撃テロなど、(今回の国交断絶とは関係ないかもしれませんが)今後も予断を許さない状況が続いています。
原油など多くの資源を中東からの輸入に頼っている日本。
特に原油はほぼ100%輸入に頼っており、ロシアやその他の国からも輸入していますが、3分の2以上は今回の関係国からの輸入となっています。
対岸の遠い国で起こっていること、ではなく、今や世界の情勢が直接的に、そして間接的に日本にも必ず影響してきます。(それを防ぐには鎖国するしかありません)
芸能人の息子が覚せい剤でなんちゃらとか、元アイドルが大麻でなんちゃらとかもいいですが、世界で起こっている出来事とそこから考えられる影響を常に注視していきたいものです。
【昨日の心・技・体】
心:読書(稼ぐ力: 「仕事がなくなる」時代の新しい働き方/大前研一)
技:なし
体:@ティップ.クロス TOKYO 渋谷
・SPINNING45
・前腕トレーニング×2セット