企業の倒産件数はここ数年で減少してきましたが、それでも2015年は約8,800件、2016年は約8,400件の企業倒産がありました。
倒産の理由はさまざまですが、それに伴う税務申告作業は必ずやってきます。
小さな会社の場合は債務超過の状態で清算するケースが多いのですが、そんなときは期限が切れた欠損金が使える場合がありますので、必ず確認をしましょう。
※よくできた和田毅投手のボブルヘッド。開きを抑えた良いフォーム
債務免除による課税をされない
多くの負債を抱えているにも状態でも、手元の現預金や現金相当の資産を有していなければ、当然その負債を弁済することはできません。
その場合は、相手側に「債権放棄」をしてもらうことで、その負債の返済を免除、つまり「債務免除」してもらうケースが多くなります。
※「債権放棄」⇄「債務免除」
この「債務免除」は会社にとっては負債を支払わくてよくなった結果、利益となってしまい、最終的に「所得」として課税されることになります。
しかし、負債を返済する現預金もないのに、その免除された結果生じてしまった「所得」に対し課される30%相当の法人税等を支払うことはできないでしょう。
ここで規定されているのが、「期限切れ欠損金の損金算入」の制度となります。
期限切れ欠損金の範囲
青色申告をしている会社には「青色欠損金」というものがあり、過年度の「繰越欠損金」(大枠でいうと毎年の赤字のようなものです)はこの「青色欠損金」として、毎年繰り越されることになります。
しかし、この「青色欠損金」は繰越できる期限が定められております(※)ので、その期限が過ぎてしまった欠損金は消滅してしまい、通常は使うこと(所得と相殺すること)ができなくなります。
(※)最大の繰越期限は10年。繰越欠損金をしっかり有効活用しましょう
しかし、債務超過の状態(残余財産がないと見込まれる場合)で会社を清算する場合は、この「青色欠損金」に加えて、その期限が切れてしまった「期限切れ欠損金」も使えることになります。
言葉で説明すると難しくなりますので、図で簡単に表しますと、次のようになります。
まとめ
会社をいざ廃業(清算)しようとすると、法務、労務、会計、税務とやるべきことがたくさん出てきます。
もちろんご自身でこれらの諸手続きをすることは可能ですが、期限切れ欠損金のような特殊論点の場合は、なかなかテクニカルなところもあり見逃してしまいがちです。
そうならないためにも、どうしても分からないところは各専門家に相談する方がよいでしょう。
遠回りに見えて近道の場合もあります。
常に近道ばかりを探さずに、最終的な目的を忘れず行動することが必要です。
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【編集後記】
今週の日曜日(5/28)に公認会計士の短答式試験がありました。
ここ数年は10%近辺で推移している合格率ですが、今回の合格率はどれくらいになるんでしょうか。
短答式の場合は、合格率が1%違うだけで60〜70人の合格者が増減してしまうため、受験生にとってはとても重要な数字となるでしょう。
この1%が受験生の人生を左右すると言っても過言ではありません。
それは税理士試験も同様です。税理士試験も各科目とも概ね上位10%が合格ラインとされております。
それを5科目とらなくてはならないため、道は当然厳しいものとなります。普通に勉強して受かるようなものでもありません。
1%に泣いて税理士を諦めた方も数多くいるでしょう。
根性論になってしまいますが、税理士試験で一番重要なことは「最後まであきらめないこと」でしょう。
税理士試験経験者は分かると思いますが、毎年必ず心が折れそうな時がやってきます。
その壁を乗り越え最後まで諦めなければ、合格ラインとされる10%は、20%〜30%〜40%とどんどん上昇していきます。
逆に諦めたら10%〜7%〜5%〜1%とどんどん下降していくことになるでしょう。
税理士試験まであと二ヶ月超。「今、私の人生で最も重要なのものは税理士試験」くらいの意気込みが必要です。
受験生の方は、試験開始の「あの瞬間」を常に頭にイメージすることで集中力を高め、最後まで諦めず自分と戦っていきましょう。
【昨日の心・技・体】
心:読書(ゴーマニズム宣言SPECIAL パール真論/小林よしのり)
技:米国公認会計士の試験勉強
体:腹筋トレーニング×2セット